2022年2月25日(火)あと5日しか命がなかったら・・・

裁判所へ行って事務所へ行って中地域センターに行きましたから、交通費は230円×3で690円です。朝は水200㏄だけ、昼はKKR三の丸にてシェフランチで1,100円と夕食は握り寿司と茶碗蒸しとなまこをいただき2,380円食事代計は3,480円、支出小計は4,170円で累計は84,275円となりました。

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今読んでいるカフカの『失踪者』「Ⅰ 火夫」の出だしはこうです。

「女中に誘惑され、その女中に子供ができてしまった。そこで十七歳のカール・ロスマンは貧しい両親の手でアメリカへやられた。速度を落としてニューヨーク港に入っていく船の甲板に立ち、おりから急に輝きはじめた陽光をあびながら、彼はじっと自由の女神像を見つめていた。剣をもった女神が、やおら腕を胸もとにかざしたような気がした。像のまわりに爽やかな風が吹いていた。」

もうひとつ、単行本でカフカの生前に出版された「火夫」は、こういう出だしです。

「十六歳のカール・ロスマンは、貧しい両親にアメリカへ送られた。メイドが誘惑してきて、そいつに子どもができてしまったからだ。速度を落とした船がニューヨークの港に入っていくと、かなり前から見えていた自由の女神が、突然日差しが強くなったときのように浮かびあがった。剣を持った手が、みるみるうちに目の前でそびえ立ち、像の周りには自由な風が吹いている。」

その船の中で伯父さんによってカールの性的スキャンダルがばらされるところまで読みましたが、なかなかに主人公にとって不条理なできごとが起こり、現実の複雑さや奇妙さ、ある意味では不思議さをやはり深く感じさせるものがあります。

ドストエフスキーが、我々は皆、ゴーゴリの『外套』から始まったのだと言ったとの伝説があるのですが、現代に繋がる人間の複雑さへの洞察、この認識が小説を読んでいく中でも、実人生においても不可欠なものだと思います。

あと4日、自分のいのちを燃焼して生き抜くことが日々の課題であるならば、別に本なんか読んでいる場合ではないのかも知れません。しかし、このように精神世界の重層性によって実人生はどれほど豊かで滋味あふれるものになるでしょうか。そのように最低賃金生活体験の日々を生きるということは、生きている証を人々の脳裏に刻印していくことであり、その記録をとどめるものとなるのです。